井上智先生による「ジャズ講座~セオリー&パフォーマンス~」Step1,2を開講・終了致しました♪

井上智先生による「ジャズ講座~セオリー&パフォーマンス~」Step1,2を開講・終了致しました♪

2020年1月26日第1回~2月24日第4回までの全4回、井上智先生によるジャズ講座「セオリー&パフォーマンス」を開講いたしました。
本講座は毎年春と秋に開講しておりましたが、今年から時期を変更し冬と夏開講となりました。
全3ステップのうち、今回開講したStep1と2の様子をレポートします。

Step1 歌うことと、聴くこと

本講座の入り口であり、即興演奏の土台作りのヒントが満載のStep1。
今回はギター1名、フルート1名、ピアノ3名、ベース1名、計6名の方が受講されました。全員が初めての受講で、これまでの音楽歴もバラバラ。緊張感に包まれる場面もありましたが、その分、毎回の講座の最初に1曲演奏する井上先生の音楽が生き生きと感じられ、この場に対する集中度がとても高いものでした。
Step1では、主に三和音(トライアド)を基本として分散和音(アルペジオ)と音階(スケール)による即興演奏の方法を探っていきます。ジャズという音楽はポップスなどと比べると和声が複雑な場合が多く、鼻から四和音をベースにしている理論書も世にたくさん出回っているので、三和音から始めるということ自体が本講座の特徴の1つと言えます。
「すべての楽器奏者のための」と銘打った講座ゆえ、もちろん楽器で音を出すわけですが、井上先生は、まずは自分の声で歌うことを推奨しています。これにはいろいろな理由がありますが、何よりも井上先生のミュージシャンとしての40年のキャリア、特にアメリカでの経験則から見出した、良い音楽を造るための必要条件なのだと思われます。講座中、「声と耳は繋がっている」「曲のイメージを歌って伝える」など、「歌」「声」「聴く」といった単語が、具体的な楽器の奏法などよりも圧倒的に多く飛び交います。
全4回のうち、後半になってくると「アプローチ・ノート」を取り上げます。ターゲット・ノート(目標とする音)の半音下から、あるいは音階の上から捉えるというもので、これには毎度苦戦される方が多いのですが、今回もご多分に漏れず苦しめられておりました。私も実際にピアノで試してみて、まあ大変な思いをさせられましたが、この手法を始めて3,4年経った今では自分らしいアプローチの型づくりを楽しく試しています。今回受講された皆様も、ここを克服して、次回Step2で意気揚々と取り組まれることを期待したいです。

Step2 自分なりの理論づくり

受講者は、ギター2名、トランペット1名、アルトサックス1名、テナーサックス1名、ピアノ5名と、たくさんの方が集まりました。共にStep1を学んだ者同士が再び集い、和やかな空気に包まれました。
Step2では、四和音と短音階(マイナー・スケール)を深掘りします。と、その前に、初回の講座ではStep1の復習を行いましたが、こちらも前述のアプローチ・ノートに大苦戦。やはりここが鬼門となる確率が高いようです。しかし、講座の学び方を理解した方が集いしStep2、たとえ三和音が四和音になってもアプローチする方法が同様でありさえすればさほど動揺はないようです。これには、基本がいかに大切かということを感じずにはいられません。
「自分なりの理論を築いてほしい」。これは、井上先生がStep1の初回に必ず言う言葉ですが、この言葉を実践、あるいは実現しようという姿勢が、今回のStep2受講の多くの方からにじみ出ていました。それは、短音階を取り上げた際のことです。3種類あるスケールのどれを使うのか、オルタード・スケールやホールトーン・スケールなどこの講座では取り上げないスケールも使えるのかなどと議論をめぐらせる場面が自然に生まれ、各々が持っている知識や感性をなんとか自分の理論に組み込もうとしていました。次回Step3に向けて、ますます自分なりの理論づくりに励んでいただきたいです。

このたび、最終回には新型コロナウイルスがまさに猛威を奮う時期と重なりましたが、予定通り開講できましたことを感謝いたします。次回の開講は夏を予定しております。その頃にはオリンピックも本講座も無事に開催され、「冬場は大変だったね」と普通に世間話ができるくらいに、今の大変な事態が一日も早く収束することを願うばかりです。

文:竹田宗一郎(bf Jazz Schoolスタッフ)

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