高橋徹ジャズ歴史講座『音源と映像でジャズ百年史を駆けめぐる』を開講・終了いたしました♪

高橋徹ジャズ歴史講座『音源と映像でジャズ百年史を駆けめぐる』を開講・終了いたしました♪

ドラマー高橋徹が語る ジャズ史100年余の大動脈

6月から全6回に渡って開催された『高橋徹ジャズ歴史講座「音源と映像でジャズ百年史を駆けめぐる」』が、先日幕を閉じました。

高橋徹先生がbf Jazz Schoolのセッション以外のイベントに登場するのは、今回が初めて。貴重な映像、軽快な語り口、実演を交えた分かりやすい解説で、毎回どの瞬間も楽しく有意義な時間でした。しかし、今回お話しいただいたのは、優に100年を超えるジャズ史の本筋、いわば大動脈に過ぎません(それが最も重要なのは言うまでもありませんが)。開講中、「たった6回で100年の歴史を網羅するのは無理がある」と、高橋先生は何度ボヤいたことでしょうか(笑)

初回、話の出発点はイギリス人が北アメリカ大陸に入植した1607年。「百年」と銘打っているものの、この講座では結果的に400年の歴史を遡ることとなりました。ジャズの歴史=アメリカの歴史ということなのでしょう。ちなみに、17世紀初頭と言えば、日本だと江戸時代が始まったばかりで、文化史的にはシェイクスピアが《ハムレット》や《マクベス》などの代表作を書いていた頃です。

ざっと300年余りを振り返った初回の講座に続き、第2回以降はおよそ15~20年単位で話が進みましたが、特にリスナーから人気だったのは、初回・第2回(Bobopの誕生。1940~1955年)・第3回(Modern Jazzの時代Part1 1955~1970年)でした。前半の3回にはbfの生徒さんだけでなく、一般の方もたくさんの方がHAKUSAN Laboへ詰めかけてくださいました。やはり日本ではモダンジャズ人気が揺るぎないゆえか、みなさんこの時代への関心は高いようです。その上、メディアが発達した時代では映像や録音の記録が豊富ですから、古ければ古いほど、とりわけ動画資料というものは貴重なものです。高橋先生の所有する貴重資料の中からこの講座の前半の回で目にしたものはどれも印象的で、初回で聴いた黒人の生々しい労働歌や、ルイ・アームストロングとディジー・ガレスピーの共演映像などは今でもありありと思いだされます。

講座の中身もさることながら、高橋先生の小噺には毎度ニヤニヤさせられました。サッチモが川の向こうで聴いた伝説のトランぺッターの音、アメリカ大統領候補にもなったディジー、東京JAZZに出演したのに東京には行ってないと言い張るリー・コニッツの話など、どのネタも、ふと思い出しては口元が緩んでしまいそうなものばかりで、ついつい人に言いたくなってしまいます。

この度は全6回に渡り、まさにジャズ史「概論」を高橋先生にお話しいただきました。最終回では高橋先生からもアイディアをいただきましたが、今後は、たとえば特定の人物の生涯にフォーカスしたり、楽器の発展や奏法の変化をたどりながらジャズ史を紐解いていくとおもしろいかもしれません。いずれにせよ、また次回の高橋徹ジャズ歴史講座の開催にスタッフとしても期待したいを馳せたいと思います。

最後になりましたが、本講座にお越しいただいたみなさま、本当にありがとうございました。
アメリカという心臓から送り出されたジャズの血は今や世界中に行きつき、ありとあらゆる”かたち”で存在しています。太く強い血管を流れていた頃に比べると「発展」「進化」の感が薄い現代ジャズですが、この多様性の時代がどうなっていくのかを生きて体感していきましょう。

Facebookのイベントページでは動画で講座の様子を少しだけ公開してます♪

文:竹田宗一郎(bf Jazz Schoolスタッフ)

お問い合わせ先